kaneko,yukiインタビュー

LIVEをして頂くkanekoさんにメールインタビューに答えて頂きました。
ほぼ原文ママです。



―― kaneko,yukiさんを知らない方もおられるかと思いますので、初めに簡単に自己紹介をお願いします。

 外に出る活動を始めたのは2001年位からで、演劇等、舞台関係のサントラ制作、オペレーター、サウンドデザインをやっていました。その後、久保田晃弘さんやクリストフ・シャルルさんらが参加されている「nu:」というユニットに参加して、ビジュアルスコアを用いたパフォーマンス等でいくつかのイベントに参加、その辺りからソロのライブもはじめました。
 「nu:」のCDと、舞台関係のサントラCDR「lesson」「jyouri」「ぼくらが非情の大河をくだる時」をリリースしています。
 最近は、おもちゃやカシオトーン、フィールドレコーディング素材、シンセ、ギター等々を使って楽曲制作しています。舞台関係のサントラだと特にそうですが、対象となる素材や、自身の気分により楽曲のスタイルはまちまちです。


―― 音楽製作を始めたきっかけ、理由から教えてください。

 高校の時に録音は始めました。とにかく音を聴いて刺激されるのが好きで、変な音を集めたり、聴いた事の無い音楽を聴いたりするのが至福の時間でした。当時YAMAHAのCs1xというシンセを持っていたので、それでノイズを出したり、MDレコーダーで色々と音を録ったりして、その音を文化祭の時にCDRで売ったりしていました。
 当時は、欲しいCDを買う金が無いので、その分自分が作れば良いんじゃないか、とか思ってた気がします。まぁ、当時の聴く欲求を満たせる程のもんは作れて無かったですけれども(笑)はけ口にはなってたと思います。


―― 曲づくりで大切にしていることは何でしょうか?

 まずは「聴く」ためにあるので、自分の聴きたいものを作っています。具体的に主張したい事はないので、自分の曲にしても強い主張をするのではなく、わりと自然な形でそこに在ってくれれば良いななんて思っています。なんだか曖昧な表現ですが、水とか山とか、そういった自然に触れる感覚と同じ様に、音楽と接して貰えると理想かもしれないです。まぁ、人の雑念は無くなりませんので、その上での話ですが(笑)


―― 自身のルーツと言える音楽を教えてください。

 う〜ん、かなり雑食なんでルーツと言われると難しいですが、小学校の頃は所謂ヒットチャートものと、ジュリアナ(当時のディスコ?)のCDを聴いていました。実家に在ったマイルスとかYMOも一緒に聴いてました。もしかしたらルーツは小室哲哉とかかもしれないですが、それじゃ恥ずかしいのでYMOとマイルスって事にしておきます。ちなみに、初めて買ったのは大黒摩季のCDです。
 中学の時に、改めてYMOにびびった後は、KEN ISHIIとかUNDERWORLDSteve Reich。HIP HOPが気になりだしてLL COOL JNasDJ KRUSH〜国産HIP HOP→不知火→360'records周辺。YMO「BGM」→Brian Eno坂本龍一の「B-2Unit」に戻って→DUB。渋谷系ステレオラブ→Jim O'Rourke、TORTOISE辺り→音響、ノイズetc。ゆらゆら帝国から60's〜70'sサイケ、フォーク一直線→一歩戻ってMyBloodyValentine。きりが無いのでこの辺で。


―― 最近個人的に好んで聴かれているCD、またはアルバム制作中に良く聴かれたCDを3枚ほど挙げていただくことは出来ますか?

 在りすぎてきりが無いので、OurBubbleHourな3枚を。

1: V.A. / Hieloglyfiti3 (radio / 360'records)
2: Transmitter FM Band / Transmitter FM Band (Reseal)
3: 藤乃家 舞 / far (cemetery records)

 1は夜の電子音な趣で、かと言って暗くならずに生き生きした電子音が飛び回っていて、かなり好きです。僕としては、「暗くない」というのが結構重要で、不必要に暗く、重くなっていく音、むりやり「アングラ感」を出そうとしている様な内容の伴わない暗さはキライです。その点この1枚はフリーでありながら、安易にカオスを作らない、バランスの取れた1枚だと思います。
 2はThePitchshiftersの変名で、テープドローンな1枚。モノトーンに近いのに、ふと色が見えてくる感じ。テープの質感で荒くなった粒子の一つ一つが、その大きさまで確認できるような、ぶっとくて繊細な世界。オルゴールのような音色がなんか泣ける。
 3はfarというシリーズの作品で、花火がテーマだそうですが、遠くの花火を静かに見つめるような作品。所謂音響〜エレクトロニカな作品とは発想も結果も異なるけれど、表現したいことは同じなのかも。ガムラントイピアノ、ベース、ギター、シンセ等で出される点と線で静かに火花が散る。


―― これからどんなことを試みてみたいと思っていますか? また具体的な活動予定について教えてください。

 来年、アルバム「rut」がリリースされます。国内盤と海外盤がそれぞれ別Verでリリースされます。国内盤はMagicBookRecords、海外盤はand/OARからの新レーベルmOARからのリリースになります。10月にもカナダのYatraArtsから限定CDRでミニアルバム「sou」がリリースされますが、日本では流通しないと思うので、新たな形で日本でもリリースしたいと思っています。
 現時点では「perch」「tide」というイベントを主催しています。
 「perch」は毎回3組出演で、それぞれのソロとセッションを、季節、時間、場所をテーマに行っています。今後も季節の変わり目辺りに開催予定です。
 「tide」は奈良レーベルsukima industriesと僕の共同運営での各地方への遠征も予定しています。「perch」よりは規模の大きなイベントです。生活圏の都合上、普段はなかなか出会うことの無いアーティスト同士の交流も兼ね、その個性がぶつかり合う現場を観ていただきたいと思っています。世代、地域を超え、それらが出会うことによって新たな変化が起る様な場にしていきたいです。他にも様々な形態でのイベントを企画しています。来年以降にも面白い企画が始まりそうです。
 あとは、過去、僕のCDRをリリースしていた自身のレーベル、PhaseRubRec.が今後ちゃんとレーベルとして動きます。まずはsukima industriesとダブルネームで、同名イベントのコンピレーションCDR「tide」を10月にリリース。その後は、僕以外の方が作った作品もリリースする予定です。いくつかのレーベルからコンピレーションCDと、「アンプル」という雑誌のDVDに音源が収録されたりします。仕事の依頼があれば、Webサイト等のサウンドデザインをやってたりもします。国内外のアーティストとコラボ、セッションの予定があり、それらもそのうちリリースされると思います。


関連URL:
MagicBookRecords
http://magicbookrec.com/
mOAR
http://www.and-oar.org/moar.html
sukima industries
http://ameblo.jp/sukima-industries/
アンプル
http://www.eonet.ne.jp/~luara/ample/


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■10/21(sun)
「perch vol.02」
@ 前衛派珈琲処 Matching Mole
日時: 10/21 ST19:30〜
料金: ¥1,500-(ドリンク込み)

出演:
tadokoro,atsushi

sasaki,masaya
http://www.myspace.com/masayasasaki
kaneko,yuki
http://www.myspace.com/kanekoyuki

■11/9(fri)
「tide vol.01」
@高円寺marbletron
http://www.marbleweb.net/salon/

Live
kaneko,yuki+sasaki,masaya
http://www.myspace.com/kanekoyuki
http://www.myspace.com/masayasasaki
ura,hiroyuki
http://www.myspace.com/hiroyukiura
moxuse
http://moxuse.org/moxuse/
Ryosuke Saito
http://www.myspace.com/ryosukesaito
musika-nt
http://www.musika-nt.com
omoidemaigo
http://www.eonet.ne.jp/~maigo/index.htm