rut / yuki kaneko
昨年10月、Our Bubble HourにLIVE出演頂いたyuki kanekoさん。
今年2月に1stアルバム"rut"をmagicbook recordsからリリース。
その後も数多くのLIVEを重ね、また自らも音楽イベントをオーガナイズし、レーベル"PhaseRubRec."の運営と精力的に活動を重ねています。
そしてつい先日、アメリカの音楽レーベルand/OARのサブレーベルであるmOARから、上記1stアルバム"rut"の海外盤がリリースされました。
と言っても、全曲リマスタリングとREMIXが施され、1曲差し替え、ジャケットも新調と一新された内容となっています。
そこでこのリリースを記念して、泡の中の人2人+国内盤リリース時に発表されたテキストをひとつ御提供頂き、クロスレビュー風なことをやってみたいと思います。
どうぞご覧下さい。
キラキラです。とにかくキラキラしてるんです。音が。
転がるように音が舞い広がってひとつになって弾けて降ってそして消える。
フィールドレコーディング音源が隠し味になっていてこれもまた良い。
レーベルからのうたい文句にはジュエリー・ポップ・マイクロサウンドとありました。
電子音響だとかマイクロスコピックなんて呼ばれる音楽はとかく小難しくってアカデミックなとこが鼻につく、などと自分の至らなさを棚に上げ言い放っては方々からお叱りを受けているのだけど、rutからはそういった印象は全く受けなかった。
とても聞きやすくてBGM的に流しても心地良いことこの上ないし、ヘッドフォンなんかでぐーっと入り込んでもハッとさせられる瞬間がたくさんある。
少々詰め込みすぎだったり、深みのような感じが足りないかなと思わなくはないけれど、そこは単に好みの問題であって、この作品の持つポップネス、つまり間口の広さはやはり特筆すべき美点だろうと思うのです。
最後に余談を。
初めてyuki kanekoの名前を見たのはmyspaceを徘徊している時でした。
試聴曲を一聴した時点では男性か女性かすぐにはわかりませんでした。
しかしちょっと耳を澄ましてみると・・・きっとわかるんじゃないかと思います。ぜひ
text by obh
yuki kanekoという類い稀なる作家の一つの側面を凝縮させた本作は、先頃アメリカはmOAR盤も漸くリリースされた。
この多面的な、万華鏡の如くちりばめられた音の煌めきには、幼少時の淡い風景と「今」 の風景とが複雑に混ざり合い、聴き手に様々な心象風景を提示してくれる。
音の行方を注意深く耳で追いかけてみると、無垢な彩りと先鋭性とが、おすまし顔で当たり前の様に並べ立てられ、アヴァンポップ的な、 彼特有の歪でポップな(矛盾に非ず)世界観を構築してくれている。
非リズム的サウンドを全編通して堪能する事が出来るが、途中そわそわと 落ち着きをなくしたり、迷子になったかの様な逸脱性や暴走!?には、例えば独Sonigや竹村延和のChildisc等から発信される、奇妙でポップな、耳障りも頗る宜しい電子音楽の系譜に名を連ねる事も出来るyuki kanekoにビッグアップ。
彼自身のレーベルから発表されている別名義での作品群では、本作とはまた一寸異なる作風を提示してくれている模様。
text by zu-hause(Hurry, Hurry, Right This Way...)
聴く水陸両性改変態。フィールドレコーディングから始まる高速化した旅の数々が11のトラックで、裏の山、ビルの横、猫の舌、電車の後ろ、自転車の左右、なくしたモバイルのむこうで鳴る。
終わっていない旅たちが圧縮化されて収縮し続ける。
360°records やsnoで試みられていた、まがまがしくも不思議な特異点リンク経由した音響や地平断面音響、地下音楽、現地録音系の肌触り、トイトロニカンスナップショット・・群、、その特異重力のグラフを新世代が描くとこうなるのか・・な初代音響派軌道を塗り替え、巡り飛び、消し飛ぶ楽しい摂動。
真空で消滅する玩具。蚊薫の微細なるミクロ圏に耳が遊ぶタグの流れの響きの報告たち・・・・かつてjoywindやpeoneyが試みたような塵の地理、それはとても暗い明滅だったものが・・・・この”rut”ではより輝度をあげてスムーズに走っていてまぶしい。
joywindのように片足は崖をはずれず、軋みも最小限に抑えるジョイント脳を持ち・・。
聴衆の野次をも組み込んだ生命を紹介し続けてきた初代音響派とは違い、yuki kanekoとその仲間、架橋者世代たちの視界はよりクリアに。移入ナノウェアを備えた唐突(だしぬけ)。そのだしぬけが今後どこまで飛行し続けるのか。。
“tide”、”perch”・・とオーガナイザーとしても優れた耳を持つyuki kanekoによる音、11トラック。
2008年型トイトロニカの傑音。ここには奇怪な神経症な病気はなく、しかし未来人の膚のいちサンプルが刻まれ、新しいシンボルの組みあわせへの期待に内耳がくるくるくると喜びの萌黄。
text by 虹釜太郎 360°records
以上になります。
さて、来る8/1に高円寺円盤にてyuki kanekoさんのソロライヴがあります。
なんと5時間のロングセット!
ご自身の臨界点を更新する渾身のパフォーマンスになることでしょう。
ぜひ足を運んで見てください!
2008/08/01(fri)
" 5H - yuki kaneko - "
yuki kaneko
5 hour solo peformance
kouenji tokyo
enban
http://www.enban.org/
18:00-23:00/Charge¥1000
360°records 虹釜太郎 presents
一人5時間のシゴキ塾!!
more info.
http://www.leek.jp/yk/archives/79